自転車を二十分ほど走らせて、町のはずれの図書館へと到着した。

 施設は近年、見晴らしのいい丘の上に新しく建てられたもの。清潔で近代的な建物で、住民にも人気があるらしい。

 けれど今までは積極的に来ようとは思わなかった。図書館というと「勉強」というイメージがあったから……。

 けれどいざ足を踏み入れてみると、漫画で紹介する歴史の本や、ライトノベル、音楽CDが聴けるブース、インターネットコーナーなんかもあったりして意外に楽しいこといっぱい。

 彼は本が好きだったから――元気になったら、一緒に来ようかな。
 そんなことを考えながら、民俗資料の棚の前へ行き、都市伝説、古い伝承などを扱う本を数冊選んで、閲覧スペースへと移動した。

 明るい窓際の席を選んで着席する。
 パーテーションで区切られて、プライベートも守られているから安心だ。

「よっし、読むぞ」
 気合いを入れてページをめくる。

 難しい話になってしまうと眠くなってしまうのだが、資料は絵本としても価値が高く、妖怪の絵や、怖い話などもあって退屈しない。

(そういえば、ハムスターの妖怪っていないのかな?)

 なんて寄り道しながらも、手がかりを求め探していくうちに、とある記述を見つけた。