「直生、準備できた?」
いつものように私は直生に玄関先から声を掛ける。
「夏芽、ちょっと待って。すぐ行くから」
直生の部屋から聞こえてくる返事。
直生はとてもしっかりした人なのに、朝だけは苦手だから毎日私が待つことになるの。
「今日はバスの時間があるから早くしてねー」
今日から私と直生は修学旅行。
遥生にしおりを見せた時はどうなるかと思ったけど、昨日の夜に遥生から言ってもらった言葉で心置きなく旅行に行けるんだ。
『何かあったらすぐに直生を頼るんだぞ。同じ班の男は信用ならないからな。気を付けて行って来いよ・・・・それと、楽しんでおいで』