翌朝、私と直生が一緒に登校している時に、
「高田さん、ちょっと話したいことがあるんだけど、いい?」
私の正面に立った男の子に呼び止められた。
その男の子は私の知らない子で。
「えっと・・・」
返事ができず、直生に助けを求めようと直生を見たんだけど、
「あっ、じゃあ僕は先に教室へ行ってるね。夏芽、また後でね」
「えっ、直生・・・」
直生は私とその男の子をこの場所に残して先に学校へ行ってしまった。
「あの、突然呼び止めてごめんね。俺、2組の坂野太陽って言います。あの・・・さ」
となりのクラスの人なんだ。私、知らないな。
「あのね。俺、高田さんのことずっと可愛いなって思ってて。でもいつもさっきの湯川くんと一緒にいるから付き合っているのかと思って諦めてたんだけどさ。噂で付き合ってないって聞いたんだ」
「はい・・・」
私のこと可愛いって言ってくれたのはとても嬉しいけど、何て返事していいか分からないよ。
多分私の顔は真っ赤で。
「あの、それでね。湯川くんとは本当に付き合っていないんだよね?」
「直生? 私、直生とは付き合っていませんよ」
「うん、良かった。あの、もしよかったら俺とお付き合いしてもらえませんか?」
えっ? これって・・・
私、もしかして告白されてる?
「えっ、あの。えっ? 私?」
「突然すぎたかな。返事は今じゃなくていいからさ。考えてもらえないかな」
「は・・・い」
「うわー! 良かった。俺、速攻で振られる覚悟だった。ありがとう。じゃ、返事待ってるね。じゃーね」
目の前の坂野くんは小さくガッツポーズを作り、私の前から走って居なくなった。
えっと。もしかして今、告白された?
告白されることなんて初めてだったから返事の仕方が分からなくて。
返事を保留するような返し方をしちゃったけど、それで良かったのかな。
それにしても、直生! どうして私を置いて先に行ってしまったの。
初めてのことだったから助けて欲しかったのに。
家に帰ったら文句言ってやる!