初めての制服を着て、私は急いでお隣りへ行く。
「直生、準備できた? 早く学校へ行こう!」
「ちょっと夏芽待って。まだ制服に着替えてないよ。リビングで待ってて」
「はーい! 早くしてね、直生」
私は「お邪魔しまーす」と言いながらいつも湯川家に上がり込み、リビングで直生を待った。
遠い学校に入学した遥生はすでに登校した後でこの時間にはもう家にはいない。
遥生の制服姿を見たかったな。
どんな制服なんだろう。
そんなことを考えながらリビングの先にある扉を見た。
小さい頃からこの家に遊びに来ているのにあの扉の先には一度も入ったことが無い。
前に誰の部屋なのか聞いたら、
『誰の部屋でもないよ。今は物置になっているから入らないでね』
って直生に言われたんだ。