「ねぇ、昨日の転んだ子大丈夫かな?」

「大丈夫だと思うよ」

彼はいつだって私に微笑みかけてくれる。

「あ、結ちゃーん!」

「ほら」

来てくれた…

「なぜ、下の名前なのですか?」

「仲良くなりたいなと思って!」

「ほっといていいのに…」

私に関わったってどうせ碌なことにならない。

「ねぇ、そういえば私達お互いのこと詳しく知らないね!みんなのこと話させて!もちろん私のことも」

「ふふっ、聞いてないね」

彼が嫌じゃなさそうだし、まぁいいか。

「はぁ… 」

本でも読もう。

「じゃあ、みんなのことから紹介するね!」

「…」

「学君はね、一年前に図書室で出会ったんだ。丁度課題に困って唸ってたらうるさいって言われちゃって…でも助けてくれた。だから私嬉しくて嬉しくて!まぁ中々お友達になってくれなかったから苦労したな〜」

「そうですか」

「でもね〜、守離とはすぐ仲良くなれたの!そのうち騙されてお金搾り取られそうだからそばにいてあげるわって言われた!」

「ふふ、なんですか。それ」

へんなの。

「あ、笑ってくれた!やっぱ笑うとより可愛いね!!」

「笑ってないです」

信用できな人の前で笑うはず…ない。

「もー、照れ屋なんだから!あ、優のこと話してなかったね。優はよく突然彼女の自慢話を始めちゃうの!面白いけど、たまに今じゃない!って時に話してくるんだよね。どう思う?」

あなたが言うんですかそれ…

「それだけ彼女さんを愛しているという素敵な証では?」

「…そうだね!彼女さん大切にされてて嬉しいだろうなぁ」

どこか羨ましそうだな…

「あなたは恋人が欲しいんですか?」

「恋人っていうか、愛し合ってる姿に憧れる」

「…そうですか」

「あ、もうこんな時間!また来るね!」

「いえ、もう来なくて結構です」

言いながら走り去って行ってしまった

「行っちゃったね」

「また来るだろうなぁ」

「だろうね…とりあえず今日はもう遅いし帰りなよ」

「うん、またね」

今日もあまり彼と話せなかったな。明日は早めに来よう。






「もう、時間が…」
少年はそう言うと苦しそうに眠った。