あなたはきっと私が気づいていないと思っている。私、あなたのおかげで生きてこられたの。だから…最期まで一緒よ。



「…!久しぶりだね」

相変わらず彼は私がここに来ただけで、とても嬉しそうな顔をする。

「最近、人がよくここに来るから、なかなか来れなくて…やっぱり神様だから縁結びの効果とかあるの?」

「ないよ。元は桜に取り憑いただけの幽霊だしね」

桜だからこそありそうなのに。

「それにしてもここが観光地化されたせいでゆっくりできなくなってきてる…」

「そうだね。それに人がいる時に僕と話すと、一人で空中に向かって話すヤバい人になっちゃうしね〜」

少し寂しそうに彼は言う。
人の噂は75日と言うけれど、そんな悠長に待ってられない。

「わー!あれが噂の桜の木?きれいだね!」

「また、来ちゃったか…」

「私はいつも通り本読んでる」

「2人になったらたくさんお話ししような!」

「うん」

知らない人が4人も。あのジンクス作った人がわかったら殴り込みに行ってやりたい…

「わぁ…すごい。立派な桜の木ですね…あれ?でもこの木…」

この木?桜の木がどうかしたのかな?
というかなんか女の子が近づいてきてない?

「ねぇ!あなたすっごく可愛い!名前は?」

「人の名前を聞く前に自分の名前を名乗るのが礼儀でしょう」

「それもそうだね!ごめんね!私は影森日向!ほらみんなも!」
影森日向(かげもり ひなた)

「柊守離よ。特によろしくするつもりはないわ」
柊守離(ひいらぎ しゅり)

「花森学。よろしくお願いします」
花森学(はなもり がく)

「愛咲優!よろしくな!」
愛咲優(あいさき ゆう)

「聞こえてないと思うけど社だよー!よろしくねー」
(やしろ)

「…桜月結。ここが観光地と化したせいで1人になれないです」
桜月結(さくらづき ゆい)

「そうなの!?それは辛いね…」

嫌味だって気づいてよ。

「日向、気づいて。それとっとと帰れって言う嫌味」

「えぇ!?」

「…わりぃ…」

愛咲?だっけなにがだろう…

「ここで告白したの俺なんだ…だから、多分観光地化の根源的な?本当にごめん。でも後悔はしてない」

お前かよ。私と社はここでしか会えないのに…貴重な時間取られるし殴ってやりたいけど、社との時間を無駄にするわけにはいかない…

「…申し訳ないと思っているのなら、そろそろ一人にしてくれませんか?」

「…行きましょう」

「そうね。彼女の邪魔でしょうし」

「邪魔してごめんね…!」

あ、ちょっとそこには段差が、

「いった!」

しょうがないな…絆創膏だけあげてとっとと帰ってもらおう。

「ここ結構地面でこぼこで段差多いから気をつけて」

「!ありがとう!」

すごく嬉しそう。絆創膏あげただけなのに…なぜ?

「…別に」

「行くわよ、日向」

「うん!またね、結ちゃん!」