「働いてもらうためだ」


即答されてドキリと心臓が嫌な音を立てた。
やっぱりそうなんだ。

今までなにもなかったのは伊吹が忙しかったから。
きっと一段落つけば私は……。


「十分やってもらってる」


その言葉に夏波は思考を止めた。


「え?」

「部屋の掃除に飯の準備。それにぐっすり眠れるようになった」

「でも、それは……」


そんなの、仕事をしているうちには入らないと思っていた。
今までの生活は単なる生活の一部で、仕事じゃない。
キョトンとする夏波を横目に伊吹は寝室へと向かってしまったのだった。