教室に入ってすぐ、亜紀の席へ向かう。


「紗英!もう大丈夫なの?」


「うん、やっと薬効いた!」


「良かった〜。あ、さっきの授業のノート、写真撮って送っといたよ。」


「ありがとー!まさに『持つべきものは友』だねっ!今度、彩瀬駅前のクレープ奢る!」


「やった♪週末にでもまた行こー!」


亜紀と話をしていたら、ちょうどチャイムが鳴ったので席に戻る。

私の後ろの席には五十嵐くんが座っていたけど、机に突っ伏していて表情は見えない。


――もしかしたら、ホントに夢だったのかも。


五十嵐くんの様子を見て、一瞬そう思って、ちょっとがっかりする。


――五十嵐くんに添い寝してもらいながら頭撫でてもらうなんて、夢に決まってるよね…。


そう思いながら椅子を引いて着席すると、トントン、と肩を叩かれた。