――五十嵐くん、見てくれてたんだ…。
さっきまで、席が前後なのに仲良くなれてないって思ってたけど、思わぬところで五十嵐くんに意識してもらっていることか分かって、一気に幸せな気持ちになる。
「こうやって撫でられると、案外、痛みが楽になるでしょ?」
「うん、そうだね…。ありがと……。」
五十嵐くんは、手を止めずにずっと私の頭を撫でてくれている。
「いいよ、ゆっくり休みな。」
本当に不思議なことに、五十嵐くんに頭を撫でられているうちに痛みが和いできた。
それに、五十嵐くんの体温と私の体温であったかくなった布団に包まれて心地よくて…。
「…おやすみ」
そう言われた気がしたけど、私はすぐに夢の中へ落ちていった。