高１の時、サッカー部の練習風景を何度か見たことがある。


「五十嵐くん、かっこいい〜！」


「サッカーの才能を買われて入部したらしいよね。」


「サッカーの才能あって、イケメンで、高身長って、もう最っ高ね〜！」


そんな風にキャーキャー声を上げる女子集団の意見にも頷ける程、五十嵐くんは目立っていた。


五十嵐くんの存在を知らなかった私でさえも、一瞬にしてどの人が五十嵐くんなのか分かるほどに、目を奪われた。


１８０センチ近くある長身で、二重まぶたのはっきりとした顔立ち。目元にはホクロがあって、色気のある彼は、女子からの人気の高さも頷ける程のイケメンだった。


しかも、チームのみんなに声をかけながら、そして彼自身もディフェンスを上手くかわしながら、ボールをゴールまで導いている。


キレのある動き。


懸命に声を出してチームメンバーを動かす姿。


――かっこいい。


素直にそう思った。


そんな風に、密かに五十嵐くんに憧れていた私は、クラスが一緒になって、席が前後になった日から、仲良くなろうと意気込んでいた。何度か話し掛けたことはあるものの、今日の今日まで、なかなか仲を深めるきっかけを作れずにいる。