保健室へ向かうと、保健師の久保田先生が、朝の準備でバタバタしていた。


「あら、松田さん。また頭痛?」


「はい。授業が始まるまで休ませてもらえないかと思って…。」


「いいよいいよ!横になってなさい。」


先生は、保健室通い常連の私を気に掛ける余裕もなさそうだった。


ベッドに向かい、今日もまた、横になって薬が効くのを待つ。


ウトウトしていると、カーテンがあいたような音が聞こえた。



『…寝た?』



そんな声が聞こえたかと思ったら、ベッドが軋んだ。



――なんだろ?



一瞬、そう思ったけど、ガンガンする頭が思考の邪魔をする。瞼も重い。


すると、誰かに頭を撫でられた。大きな温かい手。髪の流れに沿って優しく動くこの感じは…


――もしかして、五十嵐くん…?