「松田さん、おはよっ」


「おはよ。雨の中、練習お疲れさま。」 


まさか話し掛けてくれるとは思わなかったから、ドキドキしながら挨拶する。


「ありがと!でもこの雨だから練習中止になった!」


五十嵐くんはそう言って、歯を見せながら無邪気に笑った。


いつもかっこよく決めてる髪が、雨に濡れて束になって、毛先から雫がポタポタと落ちてきてる。

そんな様子すらセクシーに見えるから、こんな至近距離でそんな顔して笑うのは、勘弁してほしい。

心臓がもたない…。


「てか来るの早くね?まだ7時半にもなってないけど?」


「今朝からまた頭痛がひどくて…。だから保健室で休んでおこうと思って早めに来たの。」


「そっか…大変だな。」


そう言うと、五十嵐くんはニヤッとしながら「また頭撫でようか?」なんて冗談っぽく言ってくる。


「え!?いや、そんな…悪いし…。」


「そ?俺は別にいいけど?」


「え…」