離れても、会えなくなっても、私の心にはいつだって昴がいたのに。




「陽葵は夏休みだから、またこっちに?」


「あ、うん。忙しくて全然来れてなかったから、久しぶりに…」




本当は、久しぶりに昴に会いたくなったから。


なぜかわからないけど、今なら昴がいる気がしたんだ。だから来た、なんて言えるはずもなく、曖昧に誤魔化す。




「じゃ、私そろそろ行くね。昴も学校でしょ?」


「うん。…あのさ、陽葵」


「ん?」


「また、ここで会えないかな?」


「…うん、どうせ暇だし、また明日来るよ」




ホッとしたように優しく微笑んだ昴に手を振って、展望台を後にした。



この十年間、一番会いたくて会いたくなかった人。


なのに、数分話しただけで再会できたことが嬉しくて嬉しくてたまらなかった。


想いが、溢れてしまいそうだった。