また健診の日がやって来た。

大和はいつもの如く、ソワソワ、ワクワク。

待合室で恵真からもらった手帳を見返し、早くもニヤニヤが止まらない。

手帳には前回のエコーの写真と、新たに結婚式の写真も追加していた。

「可愛いなあ、恵真のドレス姿。こんなに可愛いママから産まれたら、絶対可愛い赤ちゃんに決まってる」

近くの人に聞かれたらどうしようと、恵真はとにかくヒヤヒヤする。

(早く名前呼ばれないかな)

ようやく、佐倉さーん!と呼ばれて、二人で診察室に入った。

「こんにちは!よろしくお願いします!」

大和が張り切って挨拶すると、ベテランの助産師が、ああ、このパパね、と言わんばかりに真顔で頷いた。

「じゃあ早速診てみますね」

まずは木村先生が、画面を真剣に見ながら静止画を撮る。

やがてにっこり笑って画面を見せてくれた。

「大きくなってるわよ、ほら」
「うわー、可愛い!」

第一声は、もちろん大和の声だ。

「ふっくらして、随分赤ちゃんらしくなってきましたね。そう言えば、性別は?事前に知りたい?」

恵真は、ちらりと大和を見てから口を開く。

「私は特に聞かなくても大丈夫です。産まれてからのお楽しみにしようかなと…」
「そう。パパさんはどうする?分かったらこっそり教えましょうか?」

話を振られ、大和はじっと考え込む。

「う、うーん、それは、その…」

決断力が大事なパイロットが、大いに悩んでいる。

「知りたい、けど…。いや、大丈夫です!妻と同じ瞬間を分かち合いたいので。産まれてからのお楽しみにします」
「あら、奥様への愛が勝ったわね。ふふふ。じゃあもし分かっても、私は黙ってますね。安心して。私、しれーっととぼけるの得意だから」

あはは!と皆で笑い合って、和やかに健診は終わった。