…天瀬がここまで照れてるのは始めて見るな。
きっと俺を異性として今まで意識してないから。
だから……意識させてやる。


「幻聴じゃない。ちゃんと可愛いって言った」

「…っふぇ……?」

「…陽乃、どうした顔赤くして」

「……っ!!え、え……!?」


突然の名前呼びに驚きながら俺の目を見つめてくる陽乃を見て、からかいたくなる気持ちが増していく。

あー……俺多分今までも可愛いって思ってたな。
思ってたけど、気付かないふりしてただけで。


「あ、ああああの、初めて会った日言ったこと覚えてるんですか……?」

「覚えてる」

「っ、じゃあ、」


『私に気を許してくれたら、その時は絶対陽乃って呼んでくださいね!』

初めて会った日、陽乃が俺に言った言葉。
それを陽乃も思い出したのか、まさかとでも言うように恐る恐るそう聞いてきて。