「春哉先輩のことを分かろうともしない人の嫉妬なんて、痛くも痒くもない……!!!」
「もういい、俺の負け」
天瀬の大きくて力強い声。
その頼もしい後ろ姿に手を伸ばして、天瀬を引き寄せた。
すっぽりと俺の胸に埋まる小さい天瀬は驚いたように目をぱちくりさせて、何が起こったのかわかっていない状態。
そんな天瀬の前に立ちはだかっていた女達は俺の姿を見て顔を青ざめながら驚いたような顔をした。
「え……っ!?は、春哉く……っ」
「俺と天瀬に、二度と近づくな」
「ご、ごめんなさ……っ!!」
「うるさい、聞きたくない」
天瀬の顔をこの女達に見せないように俺の胸に押さえつけながら、俺はギロっと睨む。
するとそれに怯えた数人の女は、パタパタと走って去ってしまって。
「は、春哉先輩……っ?」
「……」
「春哉せんぱ……!!」
「ごめん、気づけなくて」
俺の腕の中でそう俺の名前を呼ぶ天瀬に、謝る。