「春哉くん女嫌いなの知ってんだよね?知ってんなら、付きまとわれるの相当迷惑だって気づけるでしょ」
「あんた能天気すぎなんじゃない?春哉くんの嫌がることすんなよ」
「私達ファンは、春哉くんが女嫌いってわかってるから近づかないだけなの。だからみんな平等だった。でもあんたが春哉くんに近づくようになったから、私達相当怒ってんだよ」
……気持ちが悪い。
不快な発言がつらつらと並べられて拳を握る。
俺に言う勇気はないくせに。
鳥肌が収まらなくて、深呼吸をする。
正直、この女たちの前に出るのは嫌だ。
だけど……天瀬をこのままにしておけない。
そうムカついて、止めようと足を踏み出そうとした時。
俺にとって不快じゃない声が、小さい声で話し出した。
「…先輩達は、春哉先輩の好きな食べ物知ってますか?」
「は?」
「好きな動物は?趣味は?得意な教科は?」
「なにお前……」