こんなにツボ浅いっけ、俺。
さっきも本人に言ったけど、ここまで笑ったのは久々だ。

完全に心を許してしまったのか。
今まで女とこうして話すことが花染以外なかったから、正直認めたくない気持ちもある。
でも……さっきの俺は、明らかに楽しんでた。

ほんとなにしてんだか。
なんて思いながら、さっきの事を思い出してふっと口元が緩んでしまう。


「あ!はる兄おかえりー!!」

「…ああ奈留、ただいま」

「え!?春哉兄ちゃん……!?ほんとだ、おかえり……って、どうしたの春哉兄ちゃん?」

「ただいま郁……なに?」


家との距離が近づいた時、隣の家から朝聞いた元気な声が聞こえてきて足を止める。

奈留の声に郁も駆け寄ってきたかと思うと、俺を見て郁は驚いたような顔をした。


「春哉兄ちゃん、なんか楽しそうだね」

「はあ?」

「いつも真顔なのに!びっくりしちゃったよ!」

「……」


そう言われてバッと口元を手で隠す。