別れる前に、思い出した天瀬はパッとスマホを取りだして。
……あれ、でも……。
「……っあ!私充電ないんだったー!!!」
「……っ、ぶはっ」
「もー!忘れてた!!ちょっと!春哉先輩さっきより笑ってません!?」
天瀬のハッとしたような顔を見て、思わず吹き出して笑ってしまった。
なんでこんなに騒がしいんだ……。
なんて思いつつも、自分の中のツボにハマってしまって笑いが止まらなくなってしまう。
「もういいです!明日交換しましょう!……って、ほんとに笑いすぎー!!」
「はは……っ!」
「帰りますよ私!さようなら!」
「ああ……ふっ」
ずっと笑ってる俺見てちょっと恥ずかしそうにした天瀬は、軽く俺を叩いた。
もう!と言って諦めた天瀬は、この道を真っ直ぐ行く俺とは違って右に曲がって。
そう言って納得しないような顔をしながら手を振って帰ってしまった。
はぁー、と俺も落ち着いてそのまま家まで一人で歩く。