そりゃあ、俺だって笑う時は笑う。
こうやって笑うことはほぼないかもしれないけど。


「ただ、こんな笑ったの久々」

「よかったです!」

「……ありがとう、天瀬」

「え?なにが?」


俺を怖がらずに近づいてきてくれて……周りにムカついたって言ってくれて。
その意味を込めて、小さい声でお礼を言うと天瀬はなんの事?と首を傾げた。

そんな天瀬を見て真っ直ぐ前を向いて歩く俺に、横からえー!と声が聞こえる。


「もー春哉先輩言葉足らずですよ!」

「知ってる」

「えー!……あれ?ここ見覚えある」

「あー、ここだよ。天瀬がナンパされてたところ」

「げっ!そうだ!」


話しながら歩いていると、朝天瀬と出会った場所に着いて天瀬は顔をゆがめた。


「通りで見覚えあると思った!」

「よかったな知ってる道に来れて」

「はい!私ここからなら家までわかるので大丈夫です!」

「そうじゃなきゃ困る」

「えへへ!あ、そう連絡先!帰る前に交換しましょ!」