女嫌いだから……触ることもできないって。


……違う、本当は……最初からずっと嫌じゃないんだ。
嫌だって、思いたかった。受け入れられなかった。

俺はさっき天瀬の腕を掴んだ。女に触ると鳥肌が立つのに、平気だった。

……っ、なんで?
もう訳が分からない。初めて会った人間に……っ、それも女に……っ、なんで嫌な感情が芽生えないんだよ……っ。


「春哉先輩、もしかして照れてる…!?」

「……っ」

「えぇ、嘘……!なんで……!?」

「…っ、なんなんだよほんとに」


自分でも顔が火照ってるのがわかって右手で顔を隠す。
それに反応して驚く天瀬に、どうしようもなく息を吐いた。


「えへへ……っ」

「…急になに。怖い」

「春哉先輩のいろんな表情見れて嬉しいなって……!」


そう言って本当に嬉しそうな笑顔をした天瀬を見て、俺は気づいた。

どこまでも真っ直ぐで無邪気な天瀬に、俺の一人静かな世界は簡単に壊されてしまった、と。