「うーん……女の子が嫌いって言われても、私が態度変えたところでどうしようもないじゃないですか。今更春哉先輩に猫かぶってもって感じだし、私だったら噂聞いて態度変えられたら傷つきます」

「……」

「それに春哉先輩、多分嫌なら嫌って言うでしょ？本人の口からそう言われるまで、私はこのままでいます！」


『人の嫌がることはしたくないですもん』『噂聞いて態度変えられたら傷つきます』

さっき言った言葉と今言った言葉は、根本が似ている。
要は、自分がされて嫌なことはしないし言わない。

天瀬がもし俺の立場だったら、態度変えられたら嫌なんだ。

……ああ、俺も……嫌かもしれない。
もし天瀬が俺を怖がるように避けてきたら……心のどこかできっとガッカリするだろう。


それに……天瀬は今、俺なら嫌なことは嫌って言うだろう、と言った。
ああそうだ。言いたいことははっきり言う。

……じゃあなんで、俺は天瀬に嫌って言わないんだ。
女嫌いだから、近づかれるのも嫌だって。