天瀬は驚いたように二人を見て、俺はため息をつく。


「あの、私昨日転校してきた一年の天瀬陽乃です!」

「え、転校生なの……?」

「はい!陽乃って呼んでくれませんか……!?」

「陽乃ちゃん……?」

「きゃーありがとうございます……っ!!」


困惑した状態のまま返事をする花染と、本当に嬉しそうな天瀬。

でも、どこか嬉しそうに見える花染に、識も気づいているのか花染を優しい表情で見ていた。

俺が女嫌いっていう話を聞いても態度を変えない天瀬なら、花染の噂を聞いてもどうってことないだろう。


「あの……陽乃ちゃんは、春哉くんと仲がいいの?」

「はいそれはもう!」「いや、仲良くない」

「えっ、ちょっと春哉先輩…!さすがにそれは嘘ですよ!」

「嘘じゃない」


天瀬と俺の回答が被り、俺の方を勢いよく見る天瀬にそっぽ向く。
……仲良くなんて、別にない。


「ふふ…っ」

「はは……っ!」