「あ、おはよう春哉くん」

「………花染」


俺が教室を出ようとする前に、ドアがガラッと開いて。
そこにはマフラーに口を埋めている花染がいた。


「おはよう」

「…?どうかしたの?ボーっとしてたね」

「ああ……まあいろいろあって」


無自覚に首を傾げて俺にそう聞く花染に、言葉を濁しながら答える。

……いろいろ、な。
そんな俺の言葉に不思議そうな顔をしながら「そっか…?」と言った花染と、横をすれ違って俺はいつもの様に廊下に出た。



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それから昼休みまで普通に過ごして。

お昼ご飯を食べ終わったため、自動販売機に飲み物を買いに行こうと廊下を歩く。
昼休みは廊下に人が多いから好きではない。


「あ、春哉」

「…ああ、識か」


歩いていると、後ろから名前を呼ばれて振り向いた。

そこには、俺を見て近づいてきている識の姿があって。
俺は立ち止まって識が目の前に来るのを待った。