「…っえ、あれって春哉くんじゃない……!?」

「まって、女といる……!!」

「嘘でしょ!?あれだけ女嫌いなのに……!?」

「ちょ、ずるいってあの女!!」


周りにいる女の視線と声に、一瞬体がゾワッとする。

……早く中に入りたい。
いつも以上に目線を向けられ、気分が悪くなりそうになりながらバレないように手をギュッと握りしめる。


「春哉先輩?どうかしたんですか?」

「……!」

「え、大丈夫?お顔固いですよ!」


深呼吸をして自分を落ち着かせようとした時。
横から聞こえたさっきと変わらない声のトーンにハッとする。

周りの声が聞こえてないのか?
これだけ注目されてるのに、なんでそんな平然としてられるんだ。鈍感なのか?


「あ!わかった!寒すぎて顔が固まっちゃったんですね!?」

「……違う」

「え、違うの!?」

「………お前、バカ?」

「あー!!バカって言った!!」