若干引き気味になりながらチラッと横を歩く小さい女を見る。
やっぱりその瞳には、媚びも好意も映っていない。
ただただ真っ直ぐで純粋なだけだ。
でかい犬みたいだ……。
ふぅ、と白い息を吐いて歩いていると、学校が見えてきて。
その間、ずっと隣は喋っている。逆にすごい。
鬱陶しいのに止めない俺も……どうかしてしまったのか。
「あ!学校あった!」
「……お前、さっきからずっと喋ってるけど道覚えたのかよ」
「……あ」
「は?」
「…周り見てなかった、かも……?」
「チッ」
「きゃーごめんなさい!その顔で舌打ち怖いですって!」
こんなことなら、もっと早くお喋り止めとけばよかった。
分かりやすく舌打ちすると、どこか楽しそうに謝ってきて頭を抱えたくなる。
そのまま歩いて学校の門をくぐると、さっきまで気にならなかった視線がバッと集中して。