「…はぁ」
俺の方に振り向いた女は、焦りながら手を合わせてお願いをしてきて。
その姿に、でかいため息が出た。
あーっ、もう……。
近づいてくる男たちと、女を見て、今起こってる状況が訳わかんなくなる。
……とりあえず、めんどくさいから。
女の横を通って俺も男の方に近づく。
「……おい」
「っ、あ?な、なんだよお前……!」
「さっきからうるさいから、騒ぐな」
「……っ、ひ」
……さっきからうるさくて、声が頭に響くんだよ。
と不機嫌オーラ全開なのを自分でも理解しながらそう言うと。
そんなに俺が怖かったのか、情けない声をして男二人は走って逃げてしまった。
……んだよ、さっきからほんとに。
はぁ、と白い息と一緒に俺の中の黒い感情も一緒に吐く。
「うわ、私の時はあいつらビビらなかったのに!」
「……」
……最悪だ。
俺にとってはさっきの男達より、後ろにいる女の方が難関だ。