「果歩もユノくんに誘われるんじゃない?」

しゅんと肩を落としていたら、しずちゃんが彼の名前を口にする。

「……」

教室の隅に目を向けると、王子姿になったユノはエイミーと楽しげに話していて。

「誘われないよ」

なぜだか無性にイライラする。

「誘ってきても断るし」

そう言い切ると、しずちゃんは呆れた態度でマミちゃんと顔を見合わせる。

「わたし、ビラ配ってくるね」

ふたりから離れ、再び、廊下に出た。

なんでこんなにムカつくんだろう。

エイミーが嫌な女の子だから?

……ちがう。

このイライラは多分、エイミーじゃなくユノに対してだ。

“好きでいていいか”とまで聞いてきたくせに、他の女の子を連れてきた彼に……。