「あっ! わたしのせい!?」
しずちゃんは“果歩と同じところに通いたい”と言って、ここを受験してくれてたよね。
ってことは、わたしの頭が悪くなければ、ふたりは不仲にならなかったんじゃ……。
「ううん。果歩のせいじゃない。いずれにしても、わたしたちは別れていたはず」
「でも……」
「入学式の次の日に、わたし休んだでしょ?」
「あ、うん」
「会いに行ったのよ。高校も別だし、不仲のままじゃダメだと思って。でも彼は言ったの。そんな制服で会いに来ないでくれ、って」
「……」
「その時に思った。この人は自分のプライドがいちばんなんだな、って」
沢部くんとのことを話してくれたしずちゃんは、先に「ごめんね」と謝ってから、密かに思っていたことを口にする。
宿泊オリエンテーションのとき、人目を気にしてユノを避けていたわたしが、一緒にいることを嫌がった沢部くんに重なって見えたらしい。
「今はもうそんなふうに思ってないけどね」
そう言って、しずちゃんは再び「ごめん」とつぶやいた。
沢部くんとの話は、色々と驚くことが多くて……。
情けないことに、わたしは聞くことしか出来なかった。
もう終わったことだから、と言い切るしずちゃん。
その横顔を見つめ、わたしは心の中でつぶやく。その恋でしずちゃんは何度泣いたのかな、と。