「よかったね。軽傷で済んだみたいで」

「うん」

「本当にいいの? 送らなくて。親、もうすぐ帰ってくると思うよ?」

「ううん、大丈夫! そこまでしてもらうのは悪いし」

あれから5分ほどで、鮎川から連絡があった。

聞けば、ユノの怪我は本当にたいしたことがなかったようで。

「じゃあ、また学校で」

「ん。気をつけて帰るんだよ?」

「はーい」

安心して、わたしはやっと笑顔になれた。


◇ ◇ ◇



そして翌朝。

「果歩ちゃん、昨日は大丈夫だった?」

登校して教室に入った瞬間、ユノが駆け寄ってくる。

「うん……ありがとう、助けてくれて」

「昨日、鮎川から電話があって……聞いたよ。心配してくれてたんだよね?」

「……大丈夫なの? 足は」

昨日と違うズボンだから、怪我の様子はわからない。

心配して膝元を見ていたら、ユノは小さな笑みをこぼし、
「もう平気!」

そう言って、怪我をしていたほうの足でトントンと地面を蹴る。

「……よかった」

表情も明るいし、本当に大丈夫みたい。

ホッと胸をなでおろしていると、突然、ユノが顔を手で覆う。

「なんか嬉しい……」

「ん?」

嬉しい理由がわからなくて首を傾げると、

「果歩ちゃんが心配してるって聞いたときから、ずっと嬉しくて……」

彼は照れくさそうに顔を隠し、そのままうつむく。

指と指の間から見える肌は、いつの間にか真っ赤になっていて……。

「そ……そんな喜ばなくても」

見ているこっちまで、急に恥ずかしくなってきた。

熱くなる頬に手を当てていたら、