「う、うん……わたしはその場にいなかったんだけど。最初から見ていた子が……そう言ってた」

さっき見た先生の慌てようを思い出す。

「っ、ユノ……」

急いで後を追う。

けれど、走り出した瞬間、ユノを乗せた車が校門を通り過ぎていった。

「……骨折って」

胸がざわざわする。

わたしが起き上がったときにはもう板は戻されていたし、ユノも怪我はしていたけれど……自分よりわたしのほうを心配していたから……。

ふたりとも下敷きにはなっていないと思っていたのに。


◇ ◇ ◇



本当に大丈夫なのか。あんな分厚い板の下敷きになったら、普通は大怪我だよ。そう考え始めてからのわたしは、怪我をさせたという罪悪感に押し潰されそうになり……。

「どうしたの、こんな時間に!」

まっすぐ帰る気にはなれず、ここへ来てしまった。

「急にごめん……」

「や、別にいいけど……なんかあったの?」

連絡もせずに家のインターホンを押したわたし。

突然の訪問にしずちゃんは戸惑っている。

「……」

「ん?」

板が倒れる音、すごく大きかった。

「っ、どうしよ……」

「えっ?」

しずちゃんの顔を見たら、一気に不安が溢れてきて……。

そのまま彼女に抱きついた。