「組み合わせるって?」

クラス委員が首を傾げると、彼は笑顔のまま続ける。

「たとえば、マンガに出てくるシーンをクジにして、お客さんに引いてもらう。それで決まったものを、お客さんと仮装したオレたちで演じるってのはどう?」

斬新な意見……。

「何それ面白そう!」

「マンガかぁ~。オレ、ヤンキーから女の子を助けるシーンやってみたいな!」

「告白シーンとか入れてみるのもいいかも!」

「あ、それなら壁ドンとか入れたい!」

一瞬で、不穏だった空気が和らいだ。

彼の提案に沿って、みんなが次々と意見を出し始める。

「……ユノ」

こういうところ、本当……あの頃のままだ。

クラスメイトがもめていたら、必ずと言っていいほどユノは間に入る。

普段は静かなほうなのに……。

すごいな、と尊敬していたら、

「少女マンガなら果歩ちゃんが詳しいよね!」

ユノがいきなりわたしの名前を口にした。

「え……」
突然のことに驚いていると、

「おすすめのマンガとかあったら教えてほしい」

彼はイキイキした表情で頼んでくる。

「そういえば、果歩ちゃんが教えてくれたマンガ、この前読んだよ! 面白かった!」

「そうなの? 山咲さん、ぜひ教えて! 詳しい人がいると助かる!」

マミちゃんのひと言が後押しとなり、わたしは少女マンガのシーン選びを担当することになってしまった。