「っ、ちょっと待って!」
このまま黙ってはいられなかった。
「ふたり、付き合ってたんだよね? 別れるからってそんな言い方……」
「果歩、やめて」
立ち止まる彼に文句を言おうとした。
けれど、しずちゃんはそれを止め、
「……さよなら」
き然とした態度で、沢部くんに別れを告げる。
『2番線、電車が発車します』
閉まったドアの向こうでは、電車に乗った沢部くんがすっきりした表情で本を開いていた。
「……っ、しずちゃん!」
このままでいいの、と聞こうとした。
でも彼女は、
「ごめん。ちょっと散歩してから帰るわ」
すでにわたしたちから数歩離れていて、これから別行動を取ろうとしている。
「待っ……」
「そっとしといてやれよ」
追おうとしたら、鮎川に肩を掴まれた。
「ひとりになりたいんだろ、今は」
「……」
失恋したばかりだし、きっとそうなんだと思う。
でも、わたしは……。
「お待たせ……って、あれ? 松本さんもトイレ行ったの?」
追いかけたい気持ちをグッとこらえていたら、ユノが戻ってきた。
ひとり足らないことを気にして、きょろきょろしている。
「……」
「あー、さっきの電車でもう帰ったよ。用事があるんだってさ」
鮎川は何もなかったかのように振る舞う。
でも今のわたしは……たぶん、顔に出している。
とりあえず話は合わせたけれど、隠せてはいなかったはずだ。何も聞かされていなかったことに対しての不満は……。
このまま黙ってはいられなかった。
「ふたり、付き合ってたんだよね? 別れるからってそんな言い方……」
「果歩、やめて」
立ち止まる彼に文句を言おうとした。
けれど、しずちゃんはそれを止め、
「……さよなら」
き然とした態度で、沢部くんに別れを告げる。
『2番線、電車が発車します』
閉まったドアの向こうでは、電車に乗った沢部くんがすっきりした表情で本を開いていた。
「……っ、しずちゃん!」
このままでいいの、と聞こうとした。
でも彼女は、
「ごめん。ちょっと散歩してから帰るわ」
すでにわたしたちから数歩離れていて、これから別行動を取ろうとしている。
「待っ……」
「そっとしといてやれよ」
追おうとしたら、鮎川に肩を掴まれた。
「ひとりになりたいんだろ、今は」
「……」
失恋したばかりだし、きっとそうなんだと思う。
でも、わたしは……。
「お待たせ……って、あれ? 松本さんもトイレ行ったの?」
追いかけたい気持ちをグッとこらえていたら、ユノが戻ってきた。
ひとり足らないことを気にして、きょろきょろしている。
「……」
「あー、さっきの電車でもう帰ったよ。用事があるんだってさ」
鮎川は何もなかったかのように振る舞う。
でも今のわたしは……たぶん、顔に出している。
とりあえず話は合わせたけれど、隠せてはいなかったはずだ。何も聞かされていなかったことに対しての不満は……。