それから約1時間後、わたしたち4人は店を後にした。

駅の改札口で、カバンの中から定期券を出したとき、

「鮎川と何してたの?」

しずちゃんは小声でたずねてくる。

「ん―、昔の話だね」

「昔の話?」

「うん。小学生時代の……わたしの知らない話を聞いてた」

「ふうん」

詳しく言うのはやめた。

あの話はペラペラと人に話すような内容じゃないし。

ユノと鮎川……あのふたりの大事な思い出だと思うから。

「いい顔してる」

エスカレーターに乗ったしずちゃんが、後に続くわたしに囁いた。

「え?」

「戻ってきてからの果歩、顔つきが変わったよ」

「……ホント?」

「うん」

……変わったのかな。自分じゃわからない。

でも、本当に変わっているのなら、それはやっぱり……。

「果歩ちゃん! 電車、後5分で来るよ!」

ユノの強さを知ったからだ。

「あ……ごめん、トイレ行きたい」

「ええっ、ユノー! 電車もう来るよ?」

「どうする? もう1本、後にする?」

「オレはユノを待つけど。山咲と松本は先に帰るか?」

ユノとの距離が少しだけ縮んだ気がする。

わたしのユノに対する気持ちは、確実に前よりはいいものになったと思う。

「いいよ、わたしも待つ」

「果歩ちゃん……!」

「ていうか早く行っといでよ、トイレ!」

ドドドドドッ、とトイレまで走るユノの姿にクスクス笑う。

その隣で鮎川は、

「松本はどうする?」

次の電車にするかどうかをしずちゃんにたずねている。

ところが、