まだ混んでいる店内。
入ってすぐにユノの大きな背中を見つけた。
先にわたしたちに気づいたのは、奥のソファーに腰掛けているしずちゃん。
彼女の様子を見て、ユノも振り返ろうとしていた。
けれどその前に、
「ごめんなさい!!」
わたしは深く腰を曲げ、さっきの言葉を謝る。
「何もわかってないくせにえらそうなこと言った……ホントごめんなさい!」
わたしだったらそんなに強くなれない。
変わった自分を受け入れられるまでは時間がかかると思うし、それまでは毎日泣いて、鏡も避けて、外に出るのも嫌がったはず。
そう考えたことで、ハムのような背中を見ても、がっかりした気分にはならなかった。
むしろ、前向きでかっこいいとまで思えてくるよ。
「果歩ちゃん……謝らなくていいよ」
ユノは変わらない。
変わらない優しさで、あんな言葉まで許そうとしてくれる。
罪悪感から目をぎゅっと閉じ、しばらくしてから顔を上げた。
視界に映った彼は、
「おかえり」
そう言って笑っていた。
笑っていたの、ハンバーガーを両手に持って。