「山咲はキモがってなかったよ。数回話したことあるけど、普通にしてくれてた」
「だよね! 嫌がった記憶なんてないもん!」
「……お前はオレなんか眼中にねぇもんな」
「え?」
ぼそりとつぶやいた言葉をちゃんと聞き取れなくて、首を傾げた。
すると鮎川は……
「ユノが助けてくれたんだよ」
道路から目を離し、
「安井たちから嫌がらせを受ける度……アイツはオレを守ってくれた」
まっすぐな瞳でわたしを見る。
「でもオレ、太ってる自分が嫌で、やせたくて……飯を食わないようになったんだ。……そんときだよ。家族の写真を見せてもらったのは」
わたしの知らない、ふたりの関係……。