「……3個じゃないの?」

彼のトレイにはハンバーガーが6つ乗っている。

びっくりして問いかけると、彼は、

「また並ばなくても済むよう、もう頼んどこうかなって。サービス券、2枚あったから」

ためらうことなくニッコリ笑ってそう返してきた。

「まぁ、ユノは体が大きいからなぁ」

いや、そういうあんたもデカいって。でも1個しか食べようとしてないじゃん。

心の中で鮎川の言葉にツッコむ。

その間でユノはもう2個目のハンバーガーを食べ始めていた。

「……っ」

こんな食生活をしていたら全然やせないよ。

呆気にとられていたけれど、このままじゃだめだと思って口を開く。

「そ、そういえばわたしさ、最近また太ったんだよね!」

うん、さりげなく言えた。

わたしが太ることを気にするタイプだってことがわかれば、きっとユノも自分の体型を気にし始めると思う。

「今朝、体重計に乗ったら2キロ太っててね」

ユノ、よく聞いて。

わたしは1キロ、2キロを気にする人間なんです。
「だから、自分で気にするほど太ってないってば」

し、しずちゃん、余計なこと言わないで。これは作戦なんだから!

「そういや、オレも最近太った……ま、気にしてないけど」

ええい、うるさい! 鮎川は黙ってて!

「わ、わたしは気にするの!」

ユノ、ちゃんと聞いてて……。

わたしは気にするタイプです!

「だってやせてるほうが嬉しいし」

聞いて、ユノ……。

「モデル並みの細さは目指してないけど、それなりに細いほうが……」

ねぇ、ユノ? さっきから夢中で食べてるみたいだけど、ちゃんと聞いてくれてるかな?

すでにハンバーガー3つを食べきっている。

ポテトをつまみながら4つ目に手を伸ばす姿を見て、わたしは声を張り上げた。