そして、その放課後。
「今日、一緒に帰らない?」
わたしは気乗りしない態度のしずちゃんを連れ、ユノに声をかけた。
「……っ!」
急だったせいか、ユノは口を開けたまま困った顔をする。
「何か用事でもあるの?」と首を傾げると、彼は「えっと」とつぶやきながら、そばに来た鮎川に目を向けた。
「ん。どした?」
「果、果歩ちゃんが……一緒に帰ろうって……」
ふたりで何か約束をしていたのか、ユノは気まずそうに首をポリポリかく。
事情を聞いた鮎川が、チラッと見てきた。
……不審そうな目。
急にどうして、って顔だな。
「あ……たまには一緒にどうかな、って……こっちはしずちゃんもいるし、4人で帰らない?」
変に思われないよう笑顔で言葉を付け足すと、ユノもすがるような顔で鮎川を見た。
それでも疑うような目をする鮎川に負けて、今日はもう諦めかけるわたし。
けれど、
「こ、この券に人数制限はないみたいだから!」
ユノはポケットから1枚の紙切れを出し、身を乗り出して鮎川に見せようとする。
必死な様子に負けたのか、鮎川はため息まじりに「いいんじゃね」とつぶやいた。
その言葉でパァァァッと、ユノの表情に光が差す。
「それ、なんの券?」
それまで黙っていたしずちゃんは、ユノが持つ紙切れに手を伸ばす。
「サービス券?」
「プラス2個プレゼント……?」
しずちゃんとふたりで券のタイトル文字を読む。