意気込んで向かった家庭科室。
そこでもユノは、みんなからの注目を集めている。
「すご……」
「料理人みたい……」
慣れた包丁さばきでベーコンを切り、数個の卵もすばやく片手で割ってくユノ。
「フンッ」
力んだ鼻息と共に、ベーコンが華麗にひっくり返る。
彼と同じ班の子たちも口をポカンと開け、フライパンを振る姿を眺めていた。
ところが、
「えっ!」
「……っ」
「っ!?」
「ユノ……!」
次の行動で、家庭科室一帯が妙な緊張感に包まれる。
「まさか……」
「ちょっ……落ち着け、ユノっ」
左のわき腹に塩の袋を抱えた彼は、ゆっくりとその中に右手を突っ込んだ。
その真剣な表情に、わたしたちはゴクリとつばを飲む。
沢山の塩をわしづかみで持つ彼は、その腕を大きく振り上げ……。
「っ!」
みんな一斉にかまえた。彼のそばにいた子たちは、慌てて調理器具を盾にする。
わたしも眉間にしわを寄せ、ユノの動きにハラハラしていた。
すると彼は、