結局、その後も謝るタイミングをつかめず、わたしは次の朝を迎えてしまった。

「ユノ!」

旅館の食堂にはもう実行委員しか残っていない。

昨日何も言えなかったことを後悔するわたしは、朝食の後片付けよりも先にユノのそばへと駆けつける。

重ねた皿を運ぼうとする彼は、きょとんとして「ん?」と首を傾げた。

「……あ、あの」

食べているときからずっと、何度も何度も頭の中で唱えていた言葉。

やっと謝れる。そう思って口を開いたとき、

「ほら、やっぱり」

背後で聞き覚えのある声がしたの。

振り向くと、こっちを見るあの子たちと目が合った。

「どうしたの? 果歩ちゃん」

できれば場所を移したい。あの子たちには聞かれたくない。

とっさにそう考えてしまう。……でも、

「一昨日はきついことを言ってごめん!」

片付けも終わってないのに移動なんかできない。

だからって先延ばしにしたら、またタイミングを失うかもしれない。

「あと、昨日は手当てしてくれてありがと。それと……飯ごうすいさんの準備のこと、鮎川から聞いた……ごめんね。大変だったでしょ?」

ずっと胸の奥が気持ち悪かった。

ひどい態度をとったなと後悔した瞬間からモヤモヤして、早く謝りたくて。

嫌な思いをしただろうな、ってユノの気持ちをずっと考えていた。