その後、うちのクラスは遅れることなく昼食をとれた。本当、ユノのおかげ……。
「湯前、こっちを手伝ってくれ」
「はい!」
片付けに入り、ユノのそばへ行こうとしたら、先生に先を越されてしまった。呼ばれた彼はそのまま持ち場を離れてく。
「……タイミングがないな」
次々と邪魔が入る。こういうときに限ってユノも話しかけてはこない。
口を尖らせながらゴミ袋を持つ。ふと目に付いたのは左手の人差し指。
「……はぁ」
性懲りもなくまだこんなことを考えるわたしがいる。
“ジッとしてて”
ユノが細くてかっこいい人だったら、多分、あのときのわたしはときめいたはずなんだ。
“ただいま……マイハニー”
抱きしめられても嫌な気持ちにはならなかったと思うし、
“今、放したら……果歩ちゃんはオレに潰されちゃうよ?”
あの時だってきっと「潰されてもいい」って思うくらい浮かれていたはずなの。
本音を言えば、昨日のしずちゃんには少しだけムッとした。外見を気にして何が悪いの、って。
だって中学のとき、爪を噛むクセを持った男子や口が悪い先生のことを嫌う人は沢山いた。でも、それに対して「中身を見ようとしないで」なんて言う人は周りにいなかったの。
それと同じようなものだと考えていた。だから、「体型が嫌だ」って思うことを悪く言われたくなかった。
けれど、
「……空、晴れてきた」
今のわたしは自分をダメな子に感じている。反省する気持ちまで出てきたの……。
“果歩ちゃん!”
ユノは変わらず、あの頃のように笑ってくれているのに……。