「……で、愚痴りたくてわたしの部屋まで来たってわけ?」
「うん」
入浴を済ませたわたしは、湿ったタオルを持ったまましずちゃんの部屋の前にいた。
簡単に事情を説明すると、彼女はふうと息をつき、わたしから目をそらす。
「果歩は何にムカついたの?」
両腕を組んで面倒くさそうな態度。
そういえば……最近のわたし、愚痴ってばっかだな。
思っていたよりも冷たい態度をとられ、今更ながらここにきたことを後悔する。
「冷やかしてきた実行委員や男子たち?」
「……」
「それとも、付き合ってないよと否定しなかったユノくん?」
「……どっちにもだよ」
だって、みんなはわたしの気持ちを無視して、勝手に盛り上がるんだもん。
他人事だと思って面白がってる……。
「でも、付き合ってないって言ったんでしょ?」
「うん」
「マミちゃんたちもお風呂では謝ってきたんだよね?」
「……うん」
そう、一緒にお風呂に入った子たちは謝ってくれた。
嫌な気分にさせたならごめんね、って言ってくれたよ。
でも……。
「なら、もう解決したんじゃないの?」
しずちゃんはそっぽを向いたまま、ぽつりと言った。
「……」
しずちゃん、今日はなんだか冷たいな。
冷たいというか、口調からイライラが伝わってくる。
「ごめん。もういいよ」
これ以上は何も言えなくて、もう自分の部屋へ戻ろうと思った。
しずちゃんなら聞いてくれる。今のこの気持ちをちゃんと理解してくれる。
そう考えていたけど、どうやら、そうじゃないみたい。
「また明日ね」
「……」
「おやすみ」
挨拶しても、彼女は厳しい目つきをやめず、何も返してこない。
気まずく思いながら背を向けたとき、