「あ、果歩ちゃん! 女子ももう終わった?」

掃除を終えて通路に出たら、男風呂のほうからユノが駆け寄ってくる。

「……うん」

「そっか! オレたちもさっき終わったんだ」

わたしを見つけた瞬間から、ユノは満面の笑み。

返事をしながらユノの背後に目を向けた。

「見て、あれ!」

「っ、きゃはは!」

さっきの子たちがまたわたしたちを見ている。

「45分までに部屋のみんなを大広間へ連れて行かなきゃいけないんだって」

「……」

きゃははと笑われて。

目の前のユノもニコニコしていて。

「一緒に行こ!」

「……かない」

「え?」

「一緒には行かない!」

嫌だ、こういうの。

この前の電車でユノがいい人なのはわかったけど、でもだからって、こんなふうに冷やかされるのは嫌だ!

逃げるように走った。ユノを置いて、こっちを見ている彼女たちとも目を合わさずに横を通り過ぎる。

誰もいない通路でジャージの裾をぎゅっと掴んだ。