「一方の普通科は、地域全体で見ると学力は下のほうでしょ。でも、特進科と普通科は見た目に違いがない。他校の人からすればみんな同じに見えるよね」

「まぁ……そうだね」

「特進クラスが作られたのは数年前だから、そんなのがあるってことを知らない人はまだ多い。……進学塾でね、バカにされることがあるんだって……先輩も特進クラスの存在を知らないよその生徒から“なんでこんなところにいるんだ”とか言われたらしい」

「何それ……」

「特進の中には“普通科自体がなくなれば自分たちはバカにされることもないのに”って、わたしたちをよく思わない人がいるんだよ……そういう人たちがケンカを吹っかけてるみたい」

しずちゃんの話で、特進科が普段からどんな思いをしているのかよくわかった。

でも、悪いのは他人をバカにする人間で、わたしたち普通科は何も悪くないじゃない……。

「ちょっと行ってくる」

さっきマミちゃんは言ってた。ユノは誰かをかばっていた、と。

きっと普通科の子を守っていたんだと思う。

ユノがかばうってことは、その子は悪いことをしていないはずだ。

なら、そこへ行ってはっきり言ってやる。普通科に当たるのはもうやめてください、と。

「ちょっと待ちなって……果歩!」

人の波をかき分けてユノのもとへ行こうとしていたわたし。

けれど、しずちゃんに手首を掴まれた。