廊下では、大勢の人だかりができていた。

窓際を囲むようにして輪を作っている生徒たち。

後ろにいても何も見えないから、背伸びをして中の様子をうかがう。

と、そのとき、

「ケンカしてるかも。ユノっちとキラオ先輩」

そばにきたマミちゃんが真剣な表情で囁いてくる。

「ケンカって……」

背伸びをやめ、続きを聞こうとするわたし。

「どうしてそうなったの?」

しずちゃんもたずねたけれど、マミちゃんは首を横に振った。トイレから戻るときにチラッと見えただけだから、とつぶやいて。

「でも、ユノっち……特進から誰かをかばってるみたいだった。そこにキラオ先輩が登場して、険悪なムードになってくところを見かけたんだ」

マミちゃんは説明するとそばから離れ、騒ぎを気にして教室から出てきたクラスメイトの元へと走ってく。

「……また“特進”」

不満げに言うと、しずちゃんは両腕を組んでから口を開いた。

「この学校の特別進学科と普通科は、学力の差が激しいんだよ。特進はわたしたちが3年間で学ぶ内容を2年ほどで終わらせてるし。特進は中間や期末も大学入試のような問題をやってるんだって」

「に、2年……」
頭がいい人たちなんだってことは知っているけれど、そこまでとは思っていなかった。

レベルの高さに驚いていると、しずちゃんはため息をつく。