ドアが閉まると室内はしんと静まり返り、壁際にある水槽の泡音が耳につくようになった。

部屋の隅に置いてある丸椅子を取りに、ベッドの向こうへと回り込む。

けれど、持ち上げようとした瞬間、布団の中から「ぐうう」という気の抜けた音が聞こえてきて。

「…………」

屈んだ態勢のまま、布団の中央を凝視してしまった。

子供みたいな寝顔にホッとする。

規則正しい寝息にも安心感を抱いたわたしは、

「何か買ってくるね」

カバンから財布を出して、小声で囁いてから近所のコンビニへ向かった。