「担任の先生がね、“会議が終わったら病院へ連れて行く”って。もう大丈夫だから、あなたたちもそろそろ帰りなさい。外、暗くなるわよ」
用事ができてまた保健室を離れることになった先生は、ユノの様子を見ながら、わたしたちに帰ることをすすめてくる。
言われた通り、しずちゃんと鮎川は帰り支度をし始めた。
わたしは壁掛けの時計を見上げ、時間を確認する。
「しずちゃん……特進の授業、もう終わる頃だね」
あと1、2分でチャイムが鳴ると思う。
「せっかくだし、今日は先輩と帰りなよ」
提案すると、しずちゃんはわたしの顔をじっと見つめ、「果歩は?」とたずねてくる。
「わたしは……」
目が覚めるまでここで待ちたい。
でも、「ひとりで残る」と言えば、ふたりに気を遣わせてしまう。