「先輩、果歩の前でユノくんの体型を悪く言ったでしょ……ユノくん、何も言い返せなかった自分を情けなく思ってたみたいで、“言われてからダイエットを始める自分がかっこ悪い”って……。好きな子にはそういう自分を見せたくないんだと思う。その気持ちはよくわかるから、わたしも果歩には言わないようにしてた」

「……」

「放課後、果歩には昇降口で待ってもらってたよね。……あれは、グラウンドに近づけないため。……果歩が先輩の教室までついてこようとしたとき、いつも断ってたのは……先輩と会った後、たまにユノくんの様子を見に行ってたから……黙っててごめんね」

しずちゃんの話を聞きながら、ユノの寝顔をじっと見つめていた。

……本当、一気に痩せた。

食べる量を減らしていただけじゃなく、ランニングまでしていたなんて……。

「そっか……そうだったんだ。……鮎川も知ってたの?」

たずねると、静かだった彼は、間を置いてから話し始めた。

「走ってることは本人から聞いてた……スポーツ大会んときにあの3年からボロカスに言われたってことは、松本から聞くまで知らなかったよ」

「鮎川もユノくんの様子を見に来ることがあったの。そのときに話したんだ。スポーツ大会でのことを……」

しずちゃんと鮎川は、わたしに説明してからこれまでを振り返る。

「最近は飯もまともに食ってなかったんだよ……“いつか倒れるんじゃねぇか”って心配してたけど、まさか本当に倒れるなんて……」

「今日グラウンドへ寄ったらさ、ユノくんはちょうど帰るときで……“めまいがするから今日はもう走らずに帰る”と言ってたの。……で、“バイバイ”って手を振ってたら、そのままバタンッと倒れちゃって……」

ふたりの話を聞いて、何も知らない自分を情けなく思った。

わたしは……毎日ユノを目で追っていたけど、そこまで自分を追い込んでいただなんて……。

あの日からユノは、どんな気持ちで過ごしていたのだろう。


わたしたち3人はそれからもベッドのそばにいて、彼が目を覚ますのを待っていた。

けれど、起きる前に保健の先生が戻ってきて……。