胸の内がざわざわして落ち着かない。

走りながらもう一度、しずちゃんの文面を読んでみたけれど、いつも言いたいことをひとつにまとめる彼女が、いくつかに分けて送ってきてる。

相当、慌てていたのだと思う。

「しずちゃん!」

「果歩……って、なんで鮎川も?」

中庭から走ってきたわたしたち。

立ち止まって息を整えていると、保健室前でずっと待っていた彼女は、駆けつけたのがわたしだけじゃないことに驚いている。

「ああ……鮎川と一緒にいたの」

「“倒れた”って聞いて、心配でついてきた」

ふたりで返事をすると、しずちゃんは「そう」とつぶやき、保健室のドアを開けた。

「先生はお家の人に連絡しに行った。保健の先生も今は職員室だけど……ユノくん、運ばれたときお腹を鳴らしていたらしいの。ダイエットのことを話したら、先生たちは“きっとそれが原因だ”って。……顔色もすごく悪いでしょ?」

言われて、ベッドのそばへ。

眠っているユノの肌はいつもより青白く、疲れているように感じる。

「何やってんだよ、倒れるまで……」

隣で鮎川がため息をつく。

寝顔を見つめていたら、背後のしずちゃんが服の袖を引っ張ってきた。

「わたし、果歩に言ってないことがある」

「“言ってないこと”?」

首を傾げると、彼女は深刻な表情でユノに目を向けた。

「ユノくん、走ってたんだよ……放課後、毎日……」

「え?」

話が唐突すぎて、きょとんとしてしまう。

「もう言ってもいいよね?」

しずちゃんは鮎川にそう声をかけ、うなずくのを待ってから口を開く。

「9月末だったかな……ほら、ちょうどあのスポーツ大会の後。帰る前に先輩と会ってるときに……偶然、グラウンドを走るユノくんを見かけたの」

「それって……」

「乗田先輩から言われたこと、かなり気にしているみたいだった。でも、声をかけたら……ユノくん、慌てて“果歩ちゃんには言わないで”って……口止めしてきたの」

しずちゃんはわたしの顔色をうかがいつつ、もう一言付け足す。