「山咲……ユノに、告白すんの?」
さっきの言葉を掘り返す鮎川。
「あ……うん」
恥ずかしいけれど、素直にうなずいた。
「……言おうと思ってる」
なんか照れるな。
相手が女友だちならともかく、男の子にこんな話をするなんて。
でも、鮎川にはちゃんと報告しておいたほうがいいよね。
「色々、迷惑かけちゃったよね、鮎川には」
コンビニの前で話した日が懐かしい。
文化祭では、ユノにイライラして鮎川に当たったんだっけ……。
「ちゃんと、また好きになれたよ。ユノのこと」
小学生時代の話をしてくれたとき、
“このまま帰んの?”
ああ言われてなかったら、わたしはユノに謝らないまま帰っていたのかもしれない。
当たり散らしたときも、
“まぁ……オレも、今日のユノにはがっかりしたけど”
鮎川は怒らずに気持ちを聞いてくれた。
なんだかんだ言いながらも、鮎川はいつも中立の立場でいてくれたんだよね。
「ありがとうね。しずちゃんと鮎川には感謝してるんだ」
これまでを振り返って、礼を言った。
だけど、目の前の彼は、
「……」
一点を見つめて、何も返してこない。
「どうしたの?」
様子をうかがうと、鮎川はスッと顔を背ける。
でも、しばらくしてから「そっか」とつぶやき、普段通りに接してきた。